戦略ドメイン|キーワード辞典

戦略ドメイン

既存事業と多角化戦略の整合性を持たせながら、企業の存立基盤の戦略的再構築を行うための経営手法のこと。

戦略ドメインとは何か

現在進行しつつある経営環境の変化は、①事業対象分野が急速に変化し、単により良い製品を開発すれば競争に勝てるという状況にはない、②多様化の一方で、国際的に需要の一様化が進むなど市場の境界条件を変化させている。③必要な技術の境界領域が拡大している、など産業全体の基盤や企業の存立条件であった市場や基盤技術にも根本的な変化を生ぜじめようとしている。

つまり事業の存立基盤――ドメインを根底からゆさぶつている。

このような変化に対処するためには一般に多角化戦略―本業の拡大という視点で環境適応を行うことが考えられるが、現在の変化は本業そのものの機能をも変化させる可能性を有している。

したがって既存事業との整合性を持たせながら、事業の存立基盤の再定義とその戦略的な再構築とが求められている。戦略ドメインとは、このような企業の存立基盤の戦略的再構築を行うための経営手法である。

戦略ドメインの策定プロセス

図は戦略ドメインの設定を戦略策定プロセスの中に概念的に位置づけたものである。本図では戦略ドメインの設定を企業レベルと製品レベルの三階層構造として捉えている。

企業レベルの戦略ドメインは企業全体を取り巻く市場構造などの外部変化と組織力などの経営資源との間に基本的な企業の事業基盤を再定義することであり、製品レベルの戦略ドメインは競争市場の中で自社の製品の競争力とその性格を捉え直し、競争戦略の再確立を求めるものである。

いずれのレベルの戦略ドメインの設定作業においても、基本的にはユーザーと企業や製品との係り、すなわち基本的な機能にまで立ち戻って事業領域を確立し直すという意味では共通している。

戦略ドメインを再定義する場合、①企業の強味、弱味の予測評価が求められる。②競争企業や市場が変化、拡大していることに着日しなければならない。③そのとき不足資源を満すために事業の再構築に至るプログラムの作成と許容される時間的余裕とを見積ることが求められる。④その他、既存事業の位置づけ、市場の共通性など多面的なチェックを行うことが好ましい。⑤ドメインの再定義を要する場合のプログラムの中には組織化とその手順、予算の編成、運用プロセス等に至る広範囲な経営機能の再構築が含まれる。

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