大量のオーダーにうまく対応できていますか?~大量受注の落とし穴~

皆様の会社では、受注から販売までの流れをスムーズに行えていますか?

仮に皆様の会社の生産システムが適切に構築されていて、受注から調達・生産・販売までスムーズに行えているとしましょう。
月次・週次の販売目標は達成し、納期遵守率はいつも100%です。このような生産システムを改善し、売上を伸ばす余地はあるでしょうか?

売上を伸ばすカギは、オーダーされたけれども失注してしまうパターンです。
例えば瞬間的に大量のオーダーが入ると、自社の調達ポテンシャルで対応できず部品・原材料が不足し、ATP(納期回答)の段階で失注することがあります。

納期遵守率や販売目標達成率は受注できた製品だけを計測しているため、このような失注の現状は社内で計測できていないことがほとんどです。
そのため、問題として認識していない企業様も多いのではないでしょうか。

こうした失注について、筆者はファントム(まぼろし)と読んでいます。
命名の由来は、単に注文を失うからだけではありません。このような失注履歴は、データとして残されないことがほとんどだからです。

なので、皆様の会社でファントムがあったかどうかを調査することは困難であり、改善すべきかどうかの判断も難しいものなのです。
大量受注という夢のような話が幻のごとく消えてしまうのは、皮肉としか言いようがありません。

ファントムを回避する方法としては、在庫を多めに確保することが挙げられます。
一方、ファントム対策の在庫は安全在庫とは別に確保しておく必要があり、販売見込から大きくずれた在庫を持つことはリスクになります。

まずは在庫をいきなり増やすのではなく、自社でファントムが多発しているか否かを確認することから始めてみましょう。

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青柳 修平
キャッシュの最大化を、モノの多少にとらわれることなく考えると、単純に、販売を最大化させ、支払を最小化させればよい。このためには、失注・欠品しないほどモノを在庫し、返済金利の生じないように借入しなければよい。

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