設備の生産性とは|生産性の測定と活用のポイント(その2)

設備の生産性とは

いままで述べた生産性は主として労働生産ですが、設備についての生産性も必要です。設備生産性の定義と見方ですが、基本的に設備の場合、作るものが十分あると仮定した場合には、365日×24日稼働することを前提として、生産性の定義を紹介します。設備生産性の阻害要因は「停止ロス」「スピード・チョコ停ロス」「不良・立上げロス」の3つです。これらのロスを徹底排除することで設備の生産性向上が期待できます。

設備生産性の測定指標は、停止ロスを見る「稼働時間率」、スピード・チョコ停ロスを見る「性能稼動率」、不良・立ち上がりロスを見る「良品率」です。総合生産性として、この3つの指標の掛け算である、「設備総合効率」と、一般にもっとも活用されている「設備稼働率」があります。これらの指標については、設備でモノを作っている以上、設備生産性を管理する上で必須となります。

工場全体の生産性を考慮するために必要あな操業度(操業時間/歴時間)も重要な指標です。モノを作っている時の生産性が高くても、例えば年間の操業度が30%とすると、残り70%は設備が動いていない事になり、投資回収が大幅に伸び、PL、BS上の数値に影響を及ぼすことになります。設備については、付加状況も考慮しつつ、設備生産性向上のための管理すべき指標を、設備ごとに設定しておくことが求められます。

生産性指標の具体的な展開方法

生産性指標について、工場での具体的な展開について説明します。まず工場全体の生産指標を設定することが必要です。工場では、何人で、どんな設備を使って、どのくらい生産したか、それで儲かったのかが分かる必要があります。技術的な成果・結果としての生産性、つまり総合生産性は必須となります。これは主に「総合パフォーマンス」「1人あたり生産量」「時間当たり生産量」「限界利益(売上-変動費)」「直接製造原価」などです。ただし、製造原価は生産性向上の結果の一部として見る指標なので、生産性指標に加えるのは多少違うかもしれません。

これらの指標が設定できたら、各部門や工程へ展開していきます。この時、最少の管理単位(グループや班が相当する)まで展開し、最少管理単位の数値が係や課単位で集計され、合計された数値が工場全体の数値となる仕組みを構築する事が重要です。もちろん工程や職場ごとに使える指標が出てくるので、適宜設定すればよいが、総合生産性(総合パフォーマンス)については、全職場共通で把握することが重要です。

これら生産性指標の軸をしっかりと確率しておき、これに各工程や職場に必要な各種指標(生産量、設備効率、歩留まり、不良率、クレーム、品種別コスト、納期、仕掛在庫、災害件数・・・)を設定し、これらを見える化しておくことで、常に最短のタイミングでアクションがとれる状態ができればいけません。この仕組みができることで年度目標の展開なども、ぶれることなく展開できます。

的外れの指標でいくら議論しても結果はついてきません。部分最適の追求のみで全体最適に直結する活動ができない悩みの典型です。個別の改善などは取り組んでいるが、その成果がどこに、どれだけ効いているのかがわからないというものです。生産性指標の体系化により、管理上のインフラ整備が求められています。

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