現場において重要なことは、生産性向上活動と経営成果(工場の全体成果)が結びついているかという点です。取り組んでいる活動が業績改善に直結していないならば、せっかくの活動の意義が半減してしまいます。
もちろん生産性向上活動が企業発展のすべてではありません。どんな戦略をとるのかということが前提で、その戦略実現の一環として生産性向上活動が存在します。作業改善レベルから、生産システムの再構築、SCM導入など、広い範囲にわたります。いずれも経営目標→工場目標→各工程の目標が連鎖しており、目標設定に向けた改革・改善テーマ、つまり生産性向上テーマがしっかりと設定されている状態が期待されます。
生産性の設定とは
次に生産性をどのように設定するのかも重要な課題です。生産性の定義はできますが、実際に生産性のレベルを測定するとなると簡単にはいきません。
現場の実態を反映していない生産性指標で議論している光景を見かける事がありますが、生産性を語る場合、1つの指標で語ることはまず不可能です。目標達成を踏まえてどのような指標で管理を行うのか十分な議論を行い、管理上抜け漏れのない生産性指標の設定と測定方法を設定することが必要です。
また測定されたデータの見方やアクションのレベルなども設定し、定期的な測定とアクションを繰り返す仕組みの構築が重要となります。
マネジメントはマネジメント=測定(メジャメント)+統制(コントロール)の式で表されます。何かデータを取って、管理限界を超えると対策を打つといおうのが常でありますが、生産性の場合もまったく同様に生産性を常に測定し、月度、四半期、半期などのタイミングで生産性向上の状況を見て、必要時に対策を強化するなど、PDCAが確実に回る仕組みも必要です。
工場で測定すべき主な生産性指標を紹介します。
まず全体の生産性を見る「総合生産性(総合パフォーマンス)」です。式は、標準出来高工数(良品数量×標準時間)/就業工数です。他には、「工数稼働率」=作業工数/就業工数、現場の生産性である「作業パフォーマンス」=標準出来高工数(各工程ごとに)/作業工数があります。
図の例を見てみると、総合パフォーマンス71%となっていますが、その内訳の作業パフォーマンスは83%、工数稼働率は86%の数値が、生産性向上活動により、作業パフォーマンスが100%へ(標準時間通りに生産ができた場合)、工数稼働率が92%へ(稼働ロスの改善ができた場合)と仮定すると、総合パフォーマンスは、100%×92%=92%となり、総合パフォーマンスは、71%→92%へと向上できます。この場合お生産性向上率は、92%/71%×100=130%となり、30%の向上となります。
この結果は非常に大きく、マネジメントの改善により、同じ人数ならば、30%も生産量が増加することを意味にしています。物量生産量では1人当たり生産量=生産量/従業員数、時間当たり生産量=生産量/総投入時間が一般的に用いられます。
koushiru事務局
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