危機管理
国家の直面する種々の危機や緊張状態をできるだけ管理可能な水準に制御するため、総合的諸活動の体系化を指す。
危機管理のルーツ
危機管理の起原は第二次大戦後の米国国防部門にある。すなわち、核兵器の登場によって抑止戦略が生れ、戦争の未然防止が国防の眼日となったが、この戦争回避こそ危機管理の要諦と見られるからだ。
しかし、アメリカが最初の危機管理体制を具体的につくりあげるには、キューバ危機の発生を待たねばならなかった。この事件は1962年秋、ソ連が米国の裏庭キューバヘ中距離弾道ミサイル基地を建設しようとして見つかり、ケネディ米大統領が強い姿勢でこれを撤去させたものだが、その間、世界中が核戦争の恐怖におののいた。
そして当時のマクナマラ国防長官は、その息づまる緊急対策会議に参画した経験から、世界的規模の情報網と中央指揮組織の整備に乗りだしたのである。
やがて1965年1月、故ジョンソン大統領は議会にあてたメツセージの中で「危機の最高管理に必要な軍事情報を収集し、指揮組織全体を一貫して統制するため国家軍事指揮システムを設置した」と述べている。
鰊危機管理の考え方とその構成
危機管理の定義はどうなっているだろうか。内外二つをあげてみよう。
・定義1
制度的取り決めないし措置により、迅速に同盟国と協議し、あるいは対立する勢力と交渉して、国際的危機をできるだけ少ない損害で解決すること(米戦略用語集。ただし『多極化時代の戦略』による)。
・定義2
国家の直面する種々の危機や緊張状態をできるだけ管理可能な水準に制御するための外交、経済、文化、政治、軍事すべての総合的諸活動の体系化をいう(野村総合研究所、『国際環境およびわが国の経済。社会の変化をふまえた総合戦略の展開』による)。
定義1はアメリカの国防部門で生れた軍事本来のものであり、定義2はこれを幅広く解釈し、非軍事面まで広げたものである。
koushiru事務局
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