コーポレートコミュニケーション
「企業の社会的存在価値」を、企業を取り巻く各環境要因(対象)に最もわかりやすい方法・形態で伝えること。
コーポレートコミュニケーションの概念とは
「わが社しかできないこと」という「企業の主張」、その受け側(ユーザーなど)からみれば、「その企業が存在しなくては社会が成り立たない」という「企業の社会的存在価値」―それを、企業を取り巻く各環境要因(対象)に最もわかりやすい方法・形態で伝えること――これがコーポレートコミュニケーション(CC)の定義である。
これまでは、単に「企業の主張」を情報として提供することのみが、CCであるとされていたが、最近では、ヒト・コト・モノといった企業の持つ経営資源すべてを媒体とし、伝達する対象にもっともわかりやすく「企業の主張(社会的存在価値】を伝えることが、CCであるという理解がされている。
コーポレートコミュニケーションの成り立ち
もともとCCという言葉は、いわゆる広報分野からスタートした。
以前は、企業が外部環境に対して行ってきたコミュニケーションは、商品の登場、存在を訴えたり、商品の特性や用途を説明したりするアドバタイジングが主流であり、信頼を売る業種(金融・保険など)を除いては、企業の存在価値や差別化を訴える広報活動は、企業のコミュニケーションとして重視されていないケースも多かった。
しかし、徐々に同質同種の商品が氾濫しはじめると、商品の差別化を、その商品の質的安定供給(=信頼)を歴史的に示す、プランド名やメーカー名によって判断する傾向が出てきはじめた。そこで、企業イメージを訴える広報活動が盛んになってきたのである。
さらに顧客は、同一価格における良質商品の選択が様々な情報から可能になってきており、企業が率先してコミュニケーションを取ることの価値が上がっているのである。
また社会的活動としては、欠陥商品、虚偽広告、環境汚染などに対する消費者運動、およびそれに呼応する行政機関とメディアの活動もあり、企業の外部環境に対する対応としても、企業の広報活動が重要になってきたのである。
CCの内容決定の過程
CCの内容である「企業の主張」を導き出す過程は、次のようになるだろう。
以上の結果、「企業の主張」が産み出され、それをコミュニケートすべき対象に最もわかりやすい形態。方法として具現化することが、企業活動の実際ということになるのである。
CCの対象
「CCとは、企業活動全般のことである」となれば、CCの対象は、① エクゼクティブ(経営意思決定層)、②従業員、③株主、④従業員の家族、⑤社外ブレーン、➅退職者、⑦仕入、販売先、⑧金融機関、⑨業界とその団体、⑩経済界全体、⑪顧客、⑫消費者団体、⑬地域社会、⑭社会一般、⑮マスコミ界、⑯学界、研究機関、⑰官公庁、⑱政府、地方自治体などを指す。
しかし、間違えてはならないことは、これらはあくまで、CCの対象の候補であり、これら全部を対象とする必要はない。企業の規模、業種、等々と「企業の主張」に応じて、これら候補の中から適宜に対象を選択すればいいのである。
CCの実行
「企業の主張」が、効率的・効果的にコミュニケートされるベき対象に最もわかりやすい形でコミュニケートされることによって、企業は営利事業体として、ゴーイングコンサーンとして機能していくことになるわけだが、そのためには、まず、「企業の主張」を、企業内部の誰もが誤解なく完全に理解し、行動に移せることが必要になる。
企業内教育は、そのためのものであり、また、「企業の主張」をサービスという形態で対象にコミュニケートする業種にとっては、サービスを伝達する媒体としての人材開発ということにもなる。
企業外部に対するCCは、①存在コミュニケーションと②マーケティングコミュニケーションとに大別できるだろう。
前者は、企業の社会的存在価値を、情報そのままの形で伝えることであり、その方法は、(a)企業を取り巻く各環境要因に対して,(b)彼らの言葉で(ニーズに合った方法で)、(c)企業のありのままを知らせることである。
また、後者は、(a)「企業の主張」を、(b)商品(有形・無形を問わず)として販売する際に、(c)その商品の持つ価値を、(d)対象とする顧客側の論理で表明し(ニーズに合った形態で)、
(e)顧客に納得して買ってもらうこと、ということになる。
koushiru事務局
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