【SCM 1問1答】協力会社の納期管理に頭を悩ませています

Q.協力会社の納期管理に頭を悩ませています。多品種の部品が必要なため、受注後社員が何回も倉庫に行って在庫を確認する作業が発生します。加えて顧客からの緊急オーダーの場合には在庫不足に気が付き協力工場に取りに行くこともあります。どのように改善すれば良いでしょうか?

A.
ご質問の問題を解決するにはSCMを学んでその仕組みを導入し、社内の生産業務と協力工場の生産業務を同期化させることが必要です。

SCMとは

SCMとはSupply Chain managementの略で、顧客からの販売情報を基に、在庫圧縮や納期短縮などを進めて「売れる量だけ調達し生産し販売していく」仕組みを指します。

防犯機器メーカーB社の事例を通して、SCMの改善プロセスについて見ていきましょう。

SCMの改善事例~まず行ったこと~

B社がまず行ったのは、改善ターゲットとテーマの設定です。

B社では段ボール箱の種類が200以上に増え、在庫確認・緊急発注・引き取り等の業務が多発し工程が混乱していました。そこでB社の社長は協力工場T社へのSCM導入を決断し直ちに協力を要請しました。

要請内容は、顧客からの出荷約束日に注文を受けた製品のみ組み立てるので、当日の朝工場の指定場所に段ボールを納品して欲しいというもので、その為に必要な改善を一緒にやりませんかと持ち掛けました。

SCMの改善事例~協力会社との連携~

次に取り組んだのが、SCM工程表の作成と発注から納品までの約束作りです。B社はТ社があたかもB社の段ボール部門として動く運ことを検討しました。

B社は顧客からオーダーを受けた時点で出荷日を約束しますが、出荷日に製品を組み立てるには全ての部品が決められた時間に決められた場所に揃っていなければなりません。検討を進める中で「顧客との受注締め切り・出荷日」と「T社への発注締め切り・納入時間」があいまいであることに気が付き、SCМ工程表を作成し、顧客・B社・T社の間の約束事項を明らかにしました。B社社長はこのような改善の経験がなかったので中小企業診断士の指導を仰ぎました。

SCMの改善事例~社内業務改善への着手~

次に取り組んだのが社内業務改善です。一目で製品と段ボール箱の関係のわかる一覧表を作り、段ボール箱の注文は一覧表を見ながら誰でも簡単作成できるようにしました。

午後3時には顧客からの翌営業日出荷分の受注を締め切って、30分以内にはT社へ段ボール箱の注文が出来るようにし、T社からはB社から送られてきたファックスに対して返信を返すだけでよくなりました。B社では倉庫からの段ボールの入出庫業務がなくなり、部品供給係の工数が30%削減されました。

最後に

SCМの構築というとITシステム構築を思い立つことが多いですが、本事例は企業間の約束事項の確立と注文フォームの変更を含む発注・納入方法の改善であり、ファクスを利用した簡易・安価なSCМ構築です。

協力工場と歩調を合わせた改善にトライしませんか?

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林 隆男
「ひとづり・ものづくり・仕組みづくり」及び「産業に貢献する」のポリシーの下、約200社に渡る製造業を指導し、約100の中小企業診断士をOJT方式で育成して来ました。

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