MIC計画|キーワード辞典

MIC計画

仕事を簡素化し、現状の管理水準を少ない人員で可能にし、さらに、企業体質強化のため人をふやさないで新戦力を作り上げるプログラムのこと。

MIC計画の生いたち

不況時でも乗り切れる強い体質を作るために、日本能率協会はMIC計画(Management of Indirect Costs)を産業界に提唱した。

しかし、MIC計画は、体質強化というよりは人減らし中心に見られ勝ちとなり、「ミクられる」というような言葉もできるような誤解をうけた。

そこで、MIC計画が文字通り体質強化をねらったものであることを明確にするために、「Management for Innovation and Creation」とイメージチェンジをすることになった。以来、景気の山谷によって多少の波はあるものの、産業界において終始体質強化の重要な柱として推進され効果を上げてきた。

MIC計画の狙い

エンジニアリングの領域の効率が欧米に勝るとも劣らない世界的水準にあるのに対して、マネジメントの分野での立ち遅れが目立っている。とくにその中で管理間接業務にたずさわっている、いわゆるホワイトカラーの人員が欧米に比べて比較にならないくらい多いことが課題としてあげられる。

今後日本の企業が生き残り成長していくためには、マネジメント分野での強力な効率化がぜひとも必要である。さらにもうひとつ、長期的な視点に立てば、企業に働く人々の高年齢化が急速に伸びることである。要するに、企業競争が激しくなるのに企業の中で働く人々が急速に老化していくということである。この相反する方向を経営者や管理者は等式に結びつけなくてはならない。

加うるに昨今、ホワイトカラーの生産性向上意識の高まりは事務所全般の効率化にさらに拍車をかけており、MIC計画のマネジメントの効率化はますますその重要性を増してきたといわぎるを得ない。

5つの特徴

事務所の効率化にはいくつものアプローチがある。

・フアイリングやマニュアル化等のオフィスマネジメントアプローチ
・ワークデザインに代表されるような各種のシステム化アプローチ
・人の意識改革をねらう自主管理活動
・人材開発的なアプローチ

MIC計画はこれらのアプローチの中にあって、現状を徹底的に洗い直し、ひとつひとつの積み上げ的に効率化余地を明確にし、着実に改善をおしすすめる総点検アプローチである。

事務所の効率化は仕事の質や量のあいまいさ、人間の能力との関連、仕事に対する企業ニーズの変化等きわめて困難な要素が多く、分析や改善のしにくいテーマである。この難問に挑戦するために多くのアプローチの中にあって、この総点検アプローチが最も地道で確実な効率を上げることができる。

日本能率協会のMIC計画は、伝統的な事務改善の分析総合の手法、全社運動展開技術、小集団活動、管理者、担当者の研修プログラム、改善スタッフの育成プログラムとその活動等を総結集したプログラムである。このMIC計画には5つの特長がある。

(1)日標値の設定

事務所の効率化は「これだけ主義」により具体的な目標値を設定して挑戦する必要がある。目標値の裏づけは採算性からくる場合もあり、体質強化のために必要な新戦力計画による場合もある。いずれにしろ目標値の中味は単なる退職不補充による在籍減のみではなく、会社の発展のために役立つ、前向きの新戦力投入に役立つものであってほしいものである。

(2)科学的手順にもとづく総点検

伝統的な科学的な手順により、徹底した現状分析をベースに具体的な改善余地を明確にし、積み上げてゆく手順に忠実にしたがつておしすすめていく。これはつかみどころのない事務所の現実の仕事を改善する唯一の手法との確信にもとづくものである。

(3)徹底した簡素化

事務所の中味は仕事の質・量、人の質・量ともあいまいであり、おみこしをかつぐような中味になっている場合が多い。要するに、ムダを徹底的に追求し、我慢のできるところは我慢をし、少しでも少ないインプットで現状の管理水準を維持する方策をさぐっていくことである。

(4) 研修と実戦との組合せ

事務所の各階層とも効率化の考え方や手法に慣れていない。そのために意識を変えること、手法を身につけることに徹して経営者、管理職も担当者もまず学ぶことが大切であり、これをベース
に実戦に生かしていくことが大切である。

(5) トップを中心とした三本柱による推進

トップの陣頭指揮のもとに、管理者を主役とし実務にくわしい担当者の自主的な参画により専門の改善スタッフの援助のもとに総力を上げて効率化に取り組むものである。

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