モノの流れを安定させるSCMの手法

【はじめに】

コロナウイルスによるパンデミック以前は、共創をテーマに新しいSCMの探索を続けてきました。そこではモノの不足の回避(前倒し)とお金の不足の回避(山崩し)を方針とし、モノの流れを安定させること(押均し)を提案できました。

またシステム分野の知見からサプライチェーンも自律分散にむかうであろうことから、前報では1か所で調達を安定させる場合を検討しました。本報では、これまで紹介したものもふくめ手法を概観し、パンデミックやそれ以降も続く製造業の支援をねらいます。

【精査】

生産計画立案後に資金の流れも見込むことで利益を生まず損失となる月を探索します。損失となる月があれば、利益が見込めるようになるまで損失の月の支払につながる調達を前倒します。このとき複数の月に山崩し・押均しを繰り返して施し、全ての月の利益化と調達の安定化をねらいます。

【範囲】

精査の際の生産計画の再立案回数を減らすために簡素化をはかります。年平均需要などの基準となる変数の150%や65%のように、調達に上限・下限をもうけることで可能となります。精査も範囲も、既存の同期と併用することができます。上限・下限の幅が販売の振幅よりも狭ければ、(安定化の定義によりますが)安定化がなされたこととなりブルウィップ効果を抑制できます。

【会計】

利益が多くモノが少ない時に多めの調達がなされるように、年平均需要などの基準となる変数に対しROI(投下資本利益率)+100%を乗ずるやり方です。ROIはサプライチェーンや生産システム内のモノの原材料換算値によって利益を除した変数です。利益は回収ないしは売上から、原材料費と生産システムを稼働するための人件費を含めた業務費用を減じた変数です。

前報の通り、このやり方の場合、利益が負のときについては、モノが多いほどROIが高くなる矛盾が生じるので、ROIの分母を基準となる変数等に固定するとよいでしょう。

これまで生産計画にない会計情報の採用によって、サプライチェーンや生産システム全体の状況を調達に反映させることが可能となります。

【同期2】

基準となる変数をもとに安定化させた生産に対して調達を同期させるやり方です。

【在庫期間情報】

情報資源が多いほど煩雑になりますがより多角的な視点で状況をつかめるので、生産システムやサプライチェーンをより適正な状態に近づけることが可能となります。

会計や同期2などのように既存の同期とは異なるやり方では、在庫状況の把握にモノの滞留期間を採用します。一番長い滞留期間があらかじめ設定した期間の下限より短ければ在庫不足ですし、上限より長ければ過剰在庫となります。在庫不足のときの調達は基準となる変数の150%、そして過剰在庫のときの調達は基準となる変数の65%と決めておくことで、在庫管理と調達の安定化を並行できます。

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青柳 修平
キャッシュの最大化を、モノの多少にとらわれることなく考えると、単純に、販売を最大化させ、支払を最小化させればよい。このためには、失注・欠品しないほどモノを在庫し、返済金利の生じないように借入しなければよい。

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