【特許調査】知財の持つ価値とは|知財経営の実践(その6)

1. 知財の持つ価値

知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財経営:特許調査

強みが技術にある場合は、関連特許の調査(特許調査)をすることが必要です。

強みが技術にあるとして、技術開発をした後で、他社から特許侵害であると訴えられたら、開発した製品を発売できません。また、技術開発費用が無駄になるなど損失が大きくなります。自社の技術を特許により保護できるのか、他社を牽制できるのか、他社の市場参入を抑制できる障壁をつくれるのか・・・など特許調査により確認することができます。知財を経営に活かす知財経営においては、過去の関連特許の調査(特許調査)が重要となります。

3. 知財経営:特許調査でわかること

特許調査でわけることは、大きく3つです。

・技術動向を把握

技術開発の方針を決定するために他社の特許や特許出願を調査します。

特許調査の結果は、他社の特許や特許出願がある他社が研究開発を行っている分野であれば、研究開発を進めるべきかどうかを判断する材料とします。他社の強い特許、特許網がすでにある場合は、技術開発を抑制します。特許調査の結果は、関連技術分野の特許がある場合には新規分野を参入できるか、特許がない分野に参入できるかなど事業方針を決定するための判断材料となります。

・企業動向を把握

競合企業の動向を把握するために特許調査の結果が利用できます。他社の特許出願動向の分析から、競合企業の技術や事業の動向を把握することができます。

・権利関係を把握

特許出願の方針を決定するため、先行技術を調査します。発明の新規性があるかを判断して、特許権利化の可能性を見極めることができます。他社との特許侵害係争のときに、特許調査を行い自社の技術が他社の特許に抵触しているかを判断します。逆に、他社が自社の特許を侵害している可能性がある場合には、侵害警告を行う前に、特許調査を行い他社の権利を確認します。

また、自社が他社特許を侵害していないかを確認します。自社の技術開発を行うにあたり、欲しい技術の特許があるかどうかを確認することができます。事業展開のために欲しい技術を発見したら、ライセンスの検討をします。

次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて{知財戦略事例集」(2007.4特許庁)

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立花信一
材料技術だけでなく加工技術と製造技術の開発、市場調査、知財推進、商品企画などの幅広い分野へに取り組んできました。 新製品の企画から、開発、生産までの包括的なサポートをして業界初の新製品を事業化しました。また、上記の技術分野の特許明細書作成、中間処理、特許調査、文献調査、特許出願推進、特許侵害訴訟などに長く従事し、知的財産権を事業経営に活かすことも出来ました。 材料だけでなく加工技術と製造技術の開発、市場調査、商品企画などの幅広い分野に取り組んできました。

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