【SWOT分析】知財の持つ価値とは|知財経営の実践(その4)

1. 知財の持つ価値

知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています〔1〕〔2〕。知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財経営:自社の競争力分析

自社の優位性はどこにあるのか。自社製品が売れる理由は何か。優位性が技術にあるなら、特許・ノウハウ戦略を検討します。優位性が技術にないなら、ブランド戦略等を検討します。

3. 知財経営:SWOT分析

自社の強みを分析してみる手法として、SWOT分析を利用してみましょう。SWOT分析とは、企業の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Thread)について分析し、評価を行う手法です。強みと弱みは、主に企業の内部要因を分析(内部環境分析)、機会と脅威は、企業の外部要因の分析(外部環境分析)を行うものです〔3〕。

4. 知財経営:クロスSWOT分析

さらに、これからの事業展開を考えるためには、クロスSWOT分析を活用することも有効です。クロスSWOT分析とは、SWOT分析によって、明らかになった強み、弱み、機会、脅威(Thread)を組み合わせて、経営課題を明らかにする手法です。

経営課題を以下の4つに分けることで、今後のとるべき戦略を明確にすることができます。

  • 強みを生かしてチャンスをものにする方法
  • 弱みを克服しチャンスを逃さないようにする方法
  • 強みを生かして脅威の影響を受けないようにする方法
  • 弱みを克服し、脅威の影響を受けないようにする方法

 

5. 知財経営の推進

今後のとるべき経営課題が明らかになったら、知財戦略支援を受けてみることも必要となるかもしれません。専門的指導により、自社の強みのみならず、弱みも把握することで、知財を経営戦略に組み込むことも有効です。開発部門、経営企画部門、販売部門が参加する会議体を設け知財経営戦略を推進することもよいでしょう。

次回に続きます。

 

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて{知財戦略事例集」(2007.4特許庁)
〔3〕SWOT分析の手法は、「中小企業のための知的資産経営マニュアル」独立法人中小企業基盤整備機構2007年3月参照

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立花信一
材料技術だけでなく加工技術と製造技術の開発、市場調査、知財推進、商品企画などの幅広い分野へに取り組んできました。 新製品の企画から、開発、生産までの包括的なサポートをして業界初の新製品を事業化しました。また、上記の技術分野の特許明細書作成、中間処理、特許調査、文献調査、特許出願推進、特許侵害訴訟などに長く従事し、知的財産権を事業経営に活かすことも出来ました。 材料だけでなく加工技術と製造技術の開発、市場調査、商品企画などの幅広い分野に取り組んできました。

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